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金沢工業大学
松井くにお研究室
ナッジ理論を活用したコード化点字ブロック利用促進アイデア創造ワークショップを実施。
視覚障がいの方や学生含め多くの方々が参加しました。
2022年6月16日 撮影( Tsuzuki Lab.)
コード化点字ブロックへのナッジ理論活用ワークショップ
事例公開
コード化点字ブロックへのナッジ理論活用ワークショップ開催
ナッジ理論を活用した
コード化点字ブロック利用促進アイデア創造ワークショップを実施
視覚障がいの方や学生含め多くの方々が参加しました
点字ブロックは「誘導」と「注意喚起」という二つの情報しか伝達できず、その先に何があるかは伝えられません。
また健常者に対する認知度が低く、点字ブロック上にモノを置いたり立ち止まってしまうなどの課題があります。
そこで必要な情報を付与できる点字ブロックの利用促進アイデアを創出するワークショップを開催しました。
ワークショップの主なポイントは以下2点です。
・「コード化点字ブロック」の活用
・行動経済学の「ナッジ理論」を組み合わせた点字ブロックの利用促進
上記内容に視覚障がい者や学生、当社社員などが集まり、様々な意見が交わされ、活発な議論が行われました。
ワークショップ経緯と成果について、主催者である松井教授や参加者の皆様にお話を伺いました。
- コード化点字ブロックとは・・・
-
点字ブロックに●や▶をつけてコード化、様々な情報を付加し、専用アプリ「Walk&Mobile」で読み取る(AIが画像認識する)ことで、利用者へ有益な情報を発信するサービスです。
基本的には音声案内が流れますが、音声以外にも動画やサイト情報も付加でき、さらに読み取る方向によって違う情報を付与できるため、コードの配置に応じて3,000万通り以上の情報を伝えることができます。
社会貢献度の高さと独創性が評価され、2022年度グッドデザイン賞を受賞しました。
(出所:金沢工業大学 プレスリリース 2022年10月11日 https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2022/1011_matsui.html)
■コード化点字ブロックへの想い・背景
- コード化点字ブロックを推進していこうと思った経緯とその想いを教えてください。
金沢工業大学
工学部 情報工学科
松井 くにお 教授
そもそも点字ブロックは視覚障がい者の方々のためにあります。
もちろん目の見えない人や見えにくい人は点字ブロックを頼りに歩くのですが、点字ブロックには警告と誘導の2種類しかなく、それだけでは自分で単独歩行することは難しいため、もっとたくさんの情報を与えて自分で選択することは出来ないか、という思いで推進してきました。
点字ブロックは目が見える人からは見えないものになっていて、気づいていないために、点字ブロックの上に物を置いたり、邪魔になるような行動をしてしまう人もいます。
目が見える人にとっても情報を提供する有益なインフラになれば、重要性に気づいて意識してくれると思い、みんなが使える点字ブロックを作ろうと活動してきました。
■ワークショップの概要
ワークショップではナッジ理論に対する理解から始まり、参加者がコード化点字ブロックのユースケースを考え発表、優れたアイデアには表彰を行いました。
- ナッジ理論とは・・・
-
【例】レジ待ちの位置
「小さなきっかけを与えることで人々の行動を変える戦略」です。人間の意思決定の癖を利用したものであり、相手に強制することなく、よりよい選択を自発的に実行する手助けができます。
■ワークショップ参加者の声
- ワークショップの印象や成果を教えてください。
学校法人 中央情報学園
小菅 厚 様
ワークショップは、参加メンバーや場所といった環境でアイデアはかなり変わると思いますが、今回は開催場所のTsuzuki Lab.がとてもいい環境で、立ち歩いたり付箋を貼るといった工夫やメンバーの多様性もあり、良いアイデアが出たと思います。
- コード化点字ブロックへの期待を教えてください。
開発者 W&Mシステムズ合同会社
千葉 和也 様
視覚障がい者の方が使うときにコード化点字ブロックだけがあっても仕方ないので、周りの認知がどうしても必要です。健常者にも使ってもらうことで周りも認知し、意識して生活すると思うので、まずは知ってもらうこと、使ってもらうことから広まっていってほしいと思います。
日本インクルーシブ・クリエーターズ連盟
川口 育子 様
コード化点字ブロックは選択の余地を生むのが良いところです。視覚障がい者向けの案内手段では、目的地までの途中に何があるか分からないのですが、コード化点字ブロックは、「この方向には何がある」という情報が分かるので、自分で考えて選択することができます。
実物を見せられる場所がないと普及は難しいと思うので、広く社会に実装されていってほしいと思います。
■今後の展望
- コード化点字ブロックの今後の展望をお聞かせください。
開発者 W&Mシステムズ合同会社
高山 裕康 様
様々なサービスに使えますが、根本はやはり「視覚障がい者の方々も気軽に自由に歩き回れる社会」ということがゴールであることを忘れずに取り組みたいです。
金沢工業大学
松井 くにお 教授
まずはどんどん広めていくのが大事。今金沢では95か所ほど設置されていますが、さらに設置箇所を増やし、インバウンドの外国人にも使ってもらうことで、世界中に広めてもらえれば、逆輸入のように日本のなかでの認知も上がると思います。
とにかく設置個所を増やす、知ってもらう人を増やす、使ってもらう人を増やす、そしてコード化点字ブロックを増やす、という良いスパイラルを回す推進役としてこれからも取り組んでいきます。
<「金沢工業大学 松井くにお研究室」の取り組み>
当社は、サステナブルな社会実現に向けた活動を推進しております。
その一環として、コード化点字ブロックの販売・普及活動に取り組んでいます。
【https://www.tsuzuki.co.jp/sustainability/materiality/】