導入事例

CASESTUDY 導入事例

サーモス株式会社 様

サーモス株式会社 様


1904年に真空断熱構造の魔法びんを世界で初めて製品化したドイツの「THERMOS G.m.b.H.」(テルモス有限会社)をルーツに持つサーモス株式会社。現在は、日本酸素ホールディングスグループの一員であり、世界各国で製品を展開しています。同社は、コンタクトセンター業務を高度化させ、データを活用するために「CT-e1/SaaS」をプラットフォームとする次世代AIコンタクトセンターの構築を進めています。単なる問い合わせ件数の削減や業務効率化ではなく、コンタクトセンターの応対記録を「データ資産」としてAIを活用して全社で生かすことが狙いです。その取り組みに至った経緯と成果について、サーモスの嵯峨山氏、松原氏にお話を伺いました。

サーモス株式会社 様

左より、業務部 情報システム課 マネジャー 嵯峨山 雅央 氏
業務部 情報システム課 松原 新 氏

電話窓口の「お客様の声」を「データ資産」に
サーモスがCT-e1/SaaSで目指す次世代AIコンタクトセンターの姿

都築電気導入内容
次世代クラウド型CTI 「CT-e1/SaaS」
ツヅキグループの株式会社コムデザインが開発したクラウド型CTIで、 業種 ・規模を問わず数多くの企業様に採用されています。 2025年6月時点での利用席数は32,000席で、 製品シェアとしてもトップクラスを誇り、 国内有数のクラウドCTIサービスとして成長を続けています。 クラウド型のシステムなので、 導入に際しては高価な設備の購入が不要で、 例えばオペレータ様の受話器も、 スマートフォンや携帯電話、 固定電話など、 お客様の形態に合わせた構成を採ることが可能です。また様々なマッシュアップパートナーのソリューションとも柔軟に連携することができるので、 ボイスボットなどお客様が希望するサービスと組み合わせてご利用いただくことも可能です。 契約単位は1か月で、 オペレータ様の増減にも計画的に対応することができます。

CT-e1/SaaS詳細はこちらから:https://tsuzuki.jp/jigyo/cte1/

User Profile

サーモス株式会社 様
所在地東京都港区芝4-1-23三田NNビル
設立1980年
社員数306名(2025年2月現在)
事業内容ステンレス製魔法びん、真空保温調理器等を中心とした家庭用品および家電製品の製造・販売
URL https://www.thermos.jp/

導入の経緯

嵯峨山 雅央⽒

業務部 情報システム課 マネジャー
嵯峨山 雅央 氏

- サーモスといえば、高性能かつ実用的な水筒や魔法びん、タンブラーが有名で、信頼できる保温ブランドとして人気ですね。

ありがとうございます。当社は日本酸素ホールディングスグループの中でも数少ない一般消費財メーカーとして、「心地よい」をキーワードにキッチン用品やアパレルなど幅広い製品を展開しています。(嵯峨山氏)

- さまざまな製品を提供しているため、お客様からの問い合わせも多いと思います。これまでのコンタクトセンターにおける課題と、CT-e1/SaaSを導入するに至った背景を教えてください。

コンタクトセンターでは、お客様からの問い合わせに的確にお答えするだけでなく、サーモスらしい温かみのあるコミュニケーションを心掛けています。 問い合わせ窓口として電話とWebフォームを設けており、十数人のオペレーターが対応しています。2016年には、旧システムの老朽化によるリプレースを契機に、応対品質向上に向けてSalesforceを導入しました。刷新に合わせて業務を見直したところ、電話、メールともに問い合わせ件数の削減が課題となったのです。そこで「応対記録を基にしたナレッジの公開を強化し、お客様の自己解決を促して問い合わせ件数を削減しよう」という取り組みを始めました。(嵯峨山氏)

2023年にはチャットボットを導入しました。しかし、期待したほどの削減効果が見られませんでした。(松原氏)

- 理由は何でしょうか。

要因はさまざま考えられますが、電話で問い合わせをする方の多くがWebサイトにあまりアクセスしないことが挙げられます。当社の製品は一般消費財で年齢層の高いお客様も多く、現時点でも電話とWebフォームの件数比率は2対1と、2016年以降でWebフォームの比率は上がったもののまだまだ電話のほうが多いという特徴があります。こうしたことから、コンタクトセンター戦略の注力ポイントの転換を図りました。入電件数は許容する代わりに「問い合わせの処理をいかに効率化するか」という点で業務全体を整理し、注力するポイントを明らかにする方向にシフトしたのです。(嵯峨山氏)

- どのような課題があがったのでしょうか。

松原 新 氏

業務部 情報システム課
松原 新 氏

オペレーターと話した結果、2つの課題が浮かび上がりました。一つは「電話応対中に、システムが適切な情報を表示してオペレーターの応対品質やスピードを上げるようにしたい」というものです。コンタクトセンターは人の入れ替わりも激しいので、新しい人がなるべく早くスムーズに応対できるようにするためにも、製品情報などを表示させる機能が必要でした。

もう一つは、電話応対完了後の処理です。オペレーターが手作業で問い合わせ内容を要約して蓄積していたのですが、これが現場の大きな負担になっていました。作業負荷の低減だけでなく、応対記録の質をどう担保するかという点も課題でした。応対記録の入力は、書く人の主観がどうしても入ってしまいます。だからといって、要約しすぎると聞くべきお客様の“生の声”がなくなってしまいます。(松原氏)

以前のシステムは、通話データと応対記録がひも付いていませんでした。また、通話データの特定箇所を再生できず、クレーム対応などの音声も全編を確認せざるを得なかったため、オペレーターの心理的な負担も大きかったのです。文字起こしや要約自動化によってこうした課題を解決したいと考え、コンタクトセンターシステムの刷新に取り組むことになりました。

お客様のご意見には貴重なインサイトがあります。それをサービス品質の改善や、将来の製品企画や改善に生かすため、単なる「応対記録の蓄積」ではなく全社で活用すべき「データ資産」にしたいという思いがありました。もちろん以前から応答記録を開発チームやマーケティング部門と共有していましたが、応対記録 の品質を向上させることで、より有効活用できるはずです。(嵯峨山氏)

選定のポイント

- 数あるCTIソリューションの中からCT-e1/SaaSを選んだ決め手は何でしたか?

通話データを活用するためにSalesforceの「Salesforce Voice」の導入を考えており、連携できるCTIであることが一番の条件でした。そのうちの1つがCT-e1/SaaSだったのです。決め手は、既存のPBXを残したまま導入できることでした。当社はコンタクトセンターと他部署で共通のPBXを利用しており、既存のPBXを使ったまま新しいCTIを導入できる点が、CT-e1/SaaSを選んだ理由の一つです。(松原氏)

Salesforce Voiceと連携できる他のCTIは海外ベンダー製品が多く、日本の電話カルチャーに対応できない部分があります。CT-e1/SaaSは国産なので電話環境を含めてCTIに関するさまざまなことを相談でき、要望にすぐに対応していただける点も評価できました。

実は、2016年ごろにCTIを導入しようと考えてCT-e1/SaaSの問い合わせをしたことがあります。CTIには当時からお客様の記録と連動して電話をかけたり着信時に顧客情報を提示したりなどの機能がありましたが、お客様の問い合わせ傾向からCTI導入にかかるコストの割にメリットが大きくないという判断で導入を見送っていた過去があります。

しかし今、AIという新しい技術が登場したことで、「CTIを組み合わせれば、蓄積している応対記録を有効活用できる」という展望が見えました。具体的には、CTIによって文字起こしされた通話内容から該当するナレッジを自動表示させて問い合わせへの対応時間を短縮し、そこで生まれた時間を新たなナレッジ作成に充てることができます。また、ナレッジの重要性が改めて認識されれば、ナレッジ作成の動機付けになります。ナレッジが蓄積されることで、業務効率化がさらに進むという好循環を生み出せると考えました。この仕組みを実現するに当たり、Salesforce Voiceの実績のある都築電気さんに依頼することにしたのです。(嵯峨山氏)

導入の成果

- CT-e1の導入に当たり、工夫した点を教えてください。

2024年10月に要件定義をスタートさせて導入に向けた動きを本格化させました。要望をまとめて都築電気さんに相談する中、一つ一つの課題を丁寧に解消していただき、とても感謝しています。しかし、CT-e1/SaaSの導入に当たっては業務手順が変更になることについてオペレーターから懸念の声が上がっていました。手元の電話機はそのままですが、慣れない画面の操作ができるのか不安があったのだと思います。

そこで現場のリーダー3名と事前打ち合わせをしながら方向性のすり合わせを行いリリース前にオペレーター向けのトレーニングを4回実施しました。電話操作や応対方法が変更になることへの不安 解消に努め、2025年に本番リリースを迎えることができました。(松原氏)

- 導入から約1年が経過しましたが、どのような効果を実感されていますか?

現場からは当初の想定を超えたうれしい声が届いています。「通話内容の自動要約によって応対記録を入力する手間が減り、問い合わせ内容を後から見返す際に、端的に把握できるようになった」「問い合わせ記録ごとに文字起こしや音声データを確認できるため、内容の詳細も把握しやすくなった」と聞いています。特 に印象的だったのは、管理者が通話内容を確認できる機能への反応です。導入前は「監視」と捉えられる懸念もありましたが、実際には「見守られている安心感」をもたらしました。オペレーターが「困った時はすぐに管理者が助けてくれる」という気持ちで応対できているのは、大きな収穫です。 リアルタイムの混雑状況やメンバーの稼働ステータスのチェックなど、「これまではやりたくてもできなかった管理」も可能になりました。(松原氏)

今後の展望

- 今後、このシステムをどのように活用したいと考えていますか?

Salesforce VoiceにはAI機能が豊富にありますが、正直なところまだまだ当初思い描いていたような実装には至っていません。

例えば、応対中のオペレーターに最適な情報をサジェストする機能は、現時点では期待していた機能がリリースされておらず、今後のSalesforceの更新を待たなければなりません。 また、Salesforceに保存された応対内容から簡単なナレッジを自動生成する機能などは、簡易的に実装したものの活用には至っておらず改善も必要です。これができると、お客様の自己解決力も向上させられますし、オペレーターの応対品質もより高まります。蓄積した通話データを応対や製品の品質改善に生かすことも併せて、「ナレッジの好循環」を作ることができると期待しています。(松原氏)

導入当初から「そこを目指すべき姿にする」とは伝えていましたが、実際にスタートしてみると、やはり難しいことがたくさんありました。ただ、今後の新機能リリースや自分たちで作り込むべき部分が明確になったことは大きな成果です。「通話内容が応対にひも付いて保存され、テキスト化され、要約される」という段階までは来ています。ここから先は、それをいかにナレッジの「作成・活用サイクル」に乗せるか。ようやくそのスタートラインに立てたと思っています。

今回クラウド型のAIソリューション基盤にデータを蓄積する環境が整ったので、今後の土台を構築できました。応対記録を学習データとして活用してAIの精度を高めることで、より高度なAIコンタクトセンターに進化させます。(嵯峨山氏)

- そうした展望の実現に向けて、都築電気に期待することは何でしょう?

これからも課題が出てくると思いますが、その都度、都築電気さんに相談してより良いコンタクトセンターとして成長したいと思っております。(松原氏)

今回は単なるCTI導入だけでなく、電話環境を含めたさまざまな相談に乗っていただいたため、安心してプロジェクトを進行できました。ITシステムの導入に当たっては、とかく目先の「効率化」や「削減」という数値を追ってしまいがちですが、未来に目を向けて投資することも大切です。そんな取り組みを理解していただいた都築電気さんは良きパートナーであり、今後とも相談に乗っていただきたいと思います。(嵯峨山氏)

サーモス株式会社様
お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

インタビュー:2026年2月現在