導入事例

CASESTUDY 導入事例

日本製紙株式会社 様

日本製紙株式会社 様


日本製紙株式会社は現在、生活関連事業を成長エンジンと位置付け、紙パック事業や段ボール事業、ケミカル事業、家庭紙事業などを展開しています。同社は2019年、社長直轄の本社主導による生産性向上プロジェクトをスタートさせました。その取り組みの流れを受けて、2021年7月に導入を決定されたのが純国産のRPAツール「WinActor」です。今回はそのサービスの導入経緯と成果について、日本製紙の半田氏、藤田氏、武藤氏、佐藤氏にお話を伺いました。

日本製紙株式会社 様

左より、管理本部 情報システム部長代理 半田 哲也 氏
管理本部 情報システム部 佐藤 由布子 氏
管理本部 情報システム部 武藤 美由紀 氏
管理本部 情報システム部 調査役 藤田 正人 氏

社内業務の生産性向上を目指してRPAツールを導入、
年間で約1,800時間の工数削減を見込み、RPAシナリオの横展開も実現

導入サービス
RPAソリューション(WinActor)
NTTアドバンステクノロジ株式会社が販売する純国産のRPA ツールで、金融業から物流・小売業に至るまで、8,000 社を超える企業様に導入されています。製品の特長としては、サーバー環境が不要でスモールスタートが可能なこと、ノンプログラミングで自動化シナリオの作成ができることなどが挙げられます。

User Profile

日本製紙株式会社 様
本社
所在地
東京都千代田区神田駿河台4-6(御茶ノ水ソラシティ)
設立1949年08月01日
資本金1,048億7,300万円
従業員単体 4,938人/連結 15,557人(2024年03月31日現在)
事業内容 紙、板紙、パルプ、液体用紙容器、溶解パルプ・機能性化成品、機能性フィルムの生産・販売およびエネルギー事業
日本製紙株式会社 ロゴ

日本製紙株式会社は、2021年5月に「2030ビジョン」を公表し、2030年までの10年間で『木とともに未来を拓く総合バイオマス企業』として目指す姿を提示。持続可能な森林資源の循環・技術力で多種多様に利用する木質資源の循環・積極的な製品リサイクルという3つの循環により、社会・環境の持続可能性と企業の成長を追求するサステナビリティ経営を推進している。

導入の経緯

管理本部 情報システム部長代理 半田 哲也 氏

日本製紙株式会社
管理本部 情報システム部長代理 半田 哲也 氏

- 今回、都築電気からWinActorを導入された経緯を教えてください。

当社は2019年に社長直轄のプロジェクトとして、本社主導による生産性向上の取り組みをスタートさせました。期間としては約2年間で、その間に社外のコンサルティング会社にも参画いただき、業務の可視化を行いました。これにより、生産性をより高める方法や、自動化が可能だと思われる業務の洗い出しなどを整理しました。その過程でRPAツールの導入も検討しましたが、実際の導入には至りませんでした。このプロジェクトでは、まず業務の可視化と課題の洗い出しを優先的に実施したということです。(半田氏)

- WinActorをご導入いただく前には、他のRPAツールをご利用されたことがあったと伺いました。

このツールは、ITに精通したメンバーが在籍する営業管理部門が独自に導入したものでした。主に基幹営業システムにおける注文受付処理の繰り返しといった単純な業務の自動化に活用されていました。2019年から2021年の約2年間、使用されていたと聞いています。(半田氏)

- 既にユーザー部門様でRPAツールを使われていたとのことですが、それを全社展開することは、考えられなかったのでしょうか。

そのRPAツールは価格を最優先して選定されたもので、複雑な業務プロセスの自動化は困難で、操作画面もユーザーフレンドリーなものではありませんでした。結果として、誰もが容易に使いこなせるものではなかったため、このツールを全社展開するという選択肢は現実的ではありませんでした。(半田氏)

- その一方で情報システム部様では、RPAツール導入の検討を続けられていたんですね。

生産性向上プロジェクトで業務の可視化と課題の洗い出しまでは完了していましたが、次のステップとして具体的な解決策をどう展開するかという課題に取り組む必要がありました。その解決策の1つとして、業務を自動化するRPAツールの活用は非常に有効な手段であると考えられます。どのRPAツールが最適かという検討は継続的に行っていました。(半田氏)

選定のポイント

管理本部 情報システム部 調査役 藤田 正人 氏

日本製紙株式会社
管理本部 情報システム部 調査役 藤田 正人 氏

- 2021年7月にWinActorの導入を決定していただきました。当製品を選択していただいた理由について、ぜひお聞かせください。

RPAツールについては、海外製品も含めていろいろと情報を集めており、WinActorについては、実は他のITベンダー様から既に見積もりも取っていました。一方都築電気様とは会社として40年以上のお付き合いがあり、当社の基幹システムからITインフラの構築に至るまで、非常に幅広くご支援いただいています。その関係の中でWinActorを取り扱われているというお話を聞き、改めて詳しい製品の説明と、都築電気様独自の導入支援サービスの紹介をしていただきました。それで最終的に、都築電気様からWinActorを導入することを決めました。(藤田氏)

- 具体的には、どのような点をご評価いただいたのでしょうか。

大きく2つのポイントがあります。1つめが、やはりRPAツールとしてのWinActorの優位性と導入コスト、2つめが、都築電気様の当社業務に対する深い理解とサポート力です。

WinActorの優位性については、第一に日本語版だったことが挙げられます。機能面も含めた検討をして、最終的にはWinActorを含む2製品に絞っていたのですが、もう1つの製品は海外製で全て英語表記でした。
これから業務を自動化するためのシナリオを自分たちで作っていく中で、何か分からないことが出てきた時にヘルプを開いたら全部英語だとか、ツールから送られてくるメッセージが全て英語だという環境は、非常にハードルが高い。その都度、英語を翻訳して内容を理解するために、作業をしている人間の手がいったん止まってしまうことになります。そんな状況はとても非効率的ですし、そもそもRPAツールを触ろうというモチベーションが低下してしまう恐れもあります。まずこの点で、純国産のWinActorには大きなアドバンテージがありました。

次に、導入するRPAツールは、シナリオ作成を担当する私たち情報システム部の複数のメンバーが触る可能性のあるほか、多くのユーザー部門での利用(実行)を目指しています。その際に端末固定のライセンスでは、利用する全員分のライセンスを購入しておかなければなりません。これに対してWinActorは、同時使用する人数分のライセンスだけ購入しておけば、利用する端末は限定されないフローティングライセンスを提供していました。
例えばシナリオ作成担当者で同時使用するのは最大5人という想定であれば、フル機能版のフローティングライセンスを5つ購入しておけば、どの端末からでも自由にWinActorでシナリオを作成することができます。また、利用部門向けには数本のシナリオ実行のみ可能な実行版ライセンスがあれば全体の利用ニーズを充足できます。複数の端末でライセンスの有効活用ができるフローティングライセンスは、私たちにとって大きなメリットでした。余談ですが、以前他のITベンダー様にWinActorの説明をしてもらった時には、利用端末固定のノードロックライセンスの話しか出てきませんでした。フローティングライセンスについては、都築電気様から初めて教えていただいた情報です。

またITパートナー企業としての都築電気様とは長いお付き合いがあり、各種業務システムからITインフラの構築、運用まで、あらゆるシステム領域でご支援いただいています。私たちの業務そのものを深く理解してくださっているという強い信頼感もありました。さらに今回はWinActorの導入に加えて、自分たちでシナリオを作ることができるようになるところまでを見据えて、導入支援サービスも導入しました。その際にサポートしてくださったのも都築電気様社内のエンジニアの方でした。 導入支援を外部委託されるITベンダー様が多い中、社内のエンジニアの方が直接対応してくださるという点も、私たちの大きな安心感につながりました。(藤田氏)

導入の成果

管理本部 情報システム部 武藤 美由紀 氏

日本製紙株式会社
管理本部 情報システム部 武藤 美由紀 氏

管理本部 情報システム部 佐藤 由布子 氏

日本製紙株式会社
管理本部 情報システム部 佐藤 由布子 氏

- 実際にWinActorを適用された主な業務と具体的な効果について、教えてください。

先の生産性向上プロジェクトでの取り組みも含め、自動化できそうな業務領域については、大体の見当をつけていました。それで私たちからいくつかのユーザー部門に声を掛けて、業務自動化の要望を拾い上げてきたという感じです。

例えば経理部門では、一般管理費の予実績管理データを、およそ150の部門別に切り分けて各部門の共有フォルダーに配布したり、生産工場の出荷部門では、製品管理システムから営業システムへ在庫情報を転記入力したりといった作業をしています。こうした業務をRPA化することで、現時点での概算ですが、全社レベルで年間に約1,800時間の工数削減につながると見込んでいます。

また、ある事業部門では、毎日銀行のWebサイトから、お客様からの入金実績データをダウンロードしてきて会計システムに入力し、売掛金明細と突合して消し込むという作業を行っています。この一連の業務にWinActorを適用して自動化を実現しました。

こうした入金確認の作業は、経理部門などでも日常的に行われており、作成したRPAシナリオを転用して活用しています。業務自動化による工数削減の効果ももちろん期待できますが、一度作ったRPAシナリオを社内で横展開して利用している、というメリットも非常に大きいと考えています。(藤田氏)

- RPAツールとしてのWinActorの使い勝手や機能については、どのようにご評価いただいているでしょうか。

私は4か月前に現職に就き、WinActorでのシナリオ作成などに携わっています。RPAツールに触るのは初めてでしたが、元々前職でプログラミングの経験があったこともあり、WinActorの変数の持ち方やシナリオの構文の形は容易に理解することができました。導入時に都築電気様に伴走していただいたものが現在でも活かされており、いち早くポイントを掴むことができたと思います。(武藤氏)

私もRPAツールは初めてでしたが、WinActorはシナリオ作成のためのパーツ(ライブラリ)が非常に充実しています。具体的には利用するアプリケーションごと、例えばWordやExcelごとに、そのアプリケーションでどんな処理をするのかという作業項目が準備されていて、業務シナリオに沿ってそれらを順番に並べていくことで、RPAシナリオを作ることができるのです。直感的に作業できるので、この点は非常に大きなメリットですね。(佐藤氏)

もう1つ、我々ユーザー企業にとって大きなアドバンテージだと感じたのは、WinActorはユーザーコミュニティが非常に充実していることです。シナリオ作成過程で何かつまづいたら、コミュニティサイトを調べれば、具体的な解決策や、何かしらのヒントを得ることができます。これも見逃すことのできない大きなポイントだと思います。(藤田氏)

今後の展望

- 最後に今後の展開と都築電気へのご要望などをお聞かせください。

今回WinActorを導入するに当たっては、都築電気様に導入支援もお願いして、伴走していただきました。実際の導入プロジェクトとしては、初めに我々でRPAの適用対象業務を選定し、RPAシナリオの雛形を都築電気様に作っていただく、という形で進めました。そして作成していただいたシナリオを情報システム部のメンバーで読み解き、分析して、こんな作り方をするんだということを学んでいきました。現在WinActorに携わっているのは、藤田、武藤、佐藤の3名で、各々の習熟度は上がってきています。これが今後さらに高まっていけば、社内から業務自動化の依頼が来た時、RPAに適合するものであれば、大体対応できるのではないかと思います。(半田氏)

今後は社内でのスキルトランスファーを進めて、WinActorを使うことのできる人員を増やしていきたいと考えています。今我々3名の間では、何か分からないことが出てきた時には、お互いに相談しながら、過去にこんなやり方をしていたねとか、ユーザーコミュニティも参照しながら、解決策を探るということができるまでになっています。今後も様々な取り組みの中で新たな課題が出てくると思います。その際には改めて、都築電気様の心強いご支援を期待しています。(藤田氏)

日本製紙株式会社 様
本日はお忙しい中、 貴重なお話をありがとうございました。

インタビュー:2025年3月