コールセンターの品質管理とは?4つの品質と評価基準を解説
作成日:2026年10月30日
コールセンターの品質向上に悩む管理者向けに、応対・接続・運営・処理という4つの品質の基礎知識や評価基準を解説します。主要なKPIやチェック方法、注意点を把握し、顧客満足度と拠点運営の効率化を両立できる仕組みを整えましょう。
コールセンターにおける4つの品質管理
応対品質
接続品質
運営品質
処理品質
コールセンターの品質管理で用いる評価指標・基準
応対品質の評価指標・基準
顧客満足度(CSAT)
モニタリングスコア
クレーム発生率
接続品質の評価指標・基準
応答率
放棄呼率
平均応答速度(ASA)
サービスレベル
話中率
運営品質の評価指標・基準
平均処理時間(AHT)
平均後処理時間(ACW)
稼働率
処理品質の評価指標・基準
FCR(一次解決率)
再入電率
処理ミス率
エスカレーション率
コールセンターの品質をチェックする3つの方法
モニタリング
ミステリーコール(覆面調査)
アンケート調査
コールセンターの品質管理を実施する際の注意点
品質管理の専任担当を決める
評価基準だけでなく、顧客の気持ちに寄り添う
継続的に品質管理とフィードバックを行う
AIや品質管理ツールの活用もおすすめ
まとめ
コールセンターにおける4つの品質管理
コールセンターの品質管理は、顧客満足度向上と業務効率化を両立する取り組みです。品質は「応対」「接続」「運営」「処理」といった観点から評価されることが一般的です。
応対品質
応対品質は、オペレーターが顧客と会話する際の接遇マナーやコミュニケーション能力を示す指標です。言葉遣いや声のトーン、傾聴姿勢、説明のわかりやすさなどが評価対象となります。適切な応対品質を確保することで、企業への信頼を高め、顧客満足度や企業への信頼向上につなげます。
接続品質
接続品質は、顧客がコールセンターへ電話をかけた際の「つながりやすさ」を示す指標です。電話がつながるまでの待ち時間や放棄呼の発生状況、適切に応答できているかなどが評価対象となります。顧客がストレスなく問い合わせを行える環境の整備は、センターの第一印象を左右する要素です。
運営品質
運営品質は、コールセンター全体の運営体制や生産性を評価する観点です。応対時間や後処理時間、稼働率などの指標に加え、人員配置や教育体制なども品質維持に影響します。適切なリソース配置や業務プロセスを検討することで、コストと応対速度のバランスを図ることが重要です。
処理品質
処理品質は、顧客からの問い合わせに対する回答の正確性や事務処理の正確さを測る指標です。応対後の事務処理や登録内容の正確性、適切なエスカレーションの実施状況などを評価します。受電後のデータ入力ミス防止、関連部署への引き継ぎ精度などが含まれます。正確に処理することで、二次クレームの防止と顧客満足度の維持につながります。
コールセンターの品質管理で用いる評価指標・基準
コールセンターの品質管理では「応対」「接続」「運営」「処理」の各領域に応じた評価指標の設定が必要です。定期的な計測と数値化により、客観的な課題抽出が可能となります。
応対品質の評価指標・基準
顧客満足度(CSAT)
顧客満足度(CSAT)は、応対を受けた顧客の満足度を表す指標です。電話応答後のアンケート調査や自動音声応答を用いて測定します。応対内容を客観的に振り返ることで、具体的な改善につなげられます。
モニタリングスコア
モニタリングスコアは、評価者が通話音声を評価シートに基づきスコア化した指標です。言葉遣い、説明のわかりやすさ、ビジネスマナーなどの項目を数値化します。定期的な測定により、オペレーターごとの指導課題が明確になります。
クレーム発生率
クレーム発生率は、全体の受電件数のうち顧客から不満や苦情が寄せられた割合を示します。クレームの発生要因には、オペレーターの応対だけでなく、待ち時間の長さや手続き不備、商品・サービスへの不満なども含まれます。件数を減らしていくことで、顧客からの信頼を保ち、センター全体の評価向上にもつながります。
接続品質の評価指標・基準
応答率
応答率は、入電総数のうちオペレーターが電話に出て応答できた件数の割合です。応答率が高いほど、多くの入電に対応できている状態を示します。接続品質を測る最も基本的な指標であり、顧客のストレス軽減につながります。
放棄呼率
放棄呼率は、電話がつながる前に顧客が諦めて切電してしまった割合です。「呼こぼれ率」とも呼ばれ、接続品質の低下を示す重要な指標となります。放棄呼率を抑制することで、顧客が問い合わせを諦める状況を減らし 、機会損失のリスクを最小限に抑えられます。
平均応答速度(ASA)
平均応答速度(ASA)は、電話がかかってからオペレーターに接続されるまでの平均待ち時間です。ASAが短いほど、顧客を待たせずに対応できている状態といえます。 適切な要員配置を行い、待ち時間を最小化することが大切です。
サービスレベル
サービスレベルは、設定した目標時間内に応答できた電話の割合を示す指標です。「20秒以内に80%の応答」などの基準値を設けて管理します。一定以上の接続品質を維持し、安定したセンター運営を行うために接続品質を継続的に評価する代表的な指標な基準です。
話中率
話中率は、顧客からの電話が話中となり、つながらなかった割合です。電話回線自体の混雑状況を把握する指標として用いられます。適切な回線数の確保や呼分散の対策を講じることで、数値を改善できます。
運営品質の評価指標・基準
平均処理時間(AHT)
平均処理時間(AHT)は、1件の問い合わせ対応にかかった平均時間を示す指標です。一般的には通話時間、保留時間、後処理時間(ACW)の合計で算出されます。
AHTを確認することで、通話、保留、後処理のどの工程に時間を要しているかを把握しやすくなります。単純な時間短縮を目的とするのではなく、応対品質や一次解決率などの指標とあわせて確認しながら、改善すべき工程を見極めることが重要です。
平均後処理時間(ACW)
平均後処理時間(ACW)は、通話終了後の応対履歴入力や伝票起票などの作業時間です。入力システムの簡素化や定型文の活用により作業時間を削減できます。業務の無駄を省き、次の着信へ素早く備えることが可能となります。
稼働率
稼働率は、勤務時間やログイン時間に対して実際の応対業務に従事している時間の割合を示す指標です。定義は企業やシステムによって異なる場合があります。高すぎるとスタッフの疲弊につながり、低すぎると生産性が低下します。適切な人員配置を行うための基準となります。
処理品質の評価指標・基準
FCR(一次解決率)
FCR(一次解決率)は、最初の問い合わせだけで顧客の問題が解決した割合です。折り返し連絡や二次対応を不要にすることで、顧客満足度が向上します。知識を共有し、マニュアルを充実させることが、数値の改善につながります。
再入電率
再入電率は、同一の顧客が同じ件で一定期間内に再度電話をかけてきた割合です。説明不足や案内漏れがあると数値が上昇します。この指標を低く保つことで、無駄な入電回数を削減し、センター全体の負担を軽減できます。
処理ミス率
処理ミス率は、データ入力エラーや手続きの手違いが発生した割合を示します。誤った情報の記録は二次クレームを引き起こす原因となります。チェック体制の強化や入力フォーマットの改善によって、処理の正確性を高めます。
エスカレーション率
エスカレーション率は、オペレーターのみで対応できず上長や専門部署へ引き継いだ割合です。数値が高い場合は知識不足や権限不足が考えられますが、必要な案件を適切に引き継ぐことも重要です。FAQ整備や教育強化により、適切な判断のもとでエスカレーションを行える体制づくりが求められます。
FAQやナレッジの整備、教育、対応権限の見直しなどを通じて、オペレーターが自身で対応すべき案件と、適切にエスカレーションすべき案件を判断できる状態を整えることが重要です。
コールセンターの品質をチェックする3つの方法
コールセンターの品質向上には、現場の課題を客観的に捉え、さまざまな視点から確認することが重要です。
モニタリング
モニタリングは、オペレーターの実際の通話録音やリアルタイムの応対内容を評価者が聴き、定めた評価シートに沿って採点する手法です。言葉遣いや話すスピード、傾聴力、顧客への共感姿勢などを細かくチェックします。評価結果に基づくフィードバックによって、オペレーター個々の課題の明確化と育成につながります。
ミステリーコール(覆面調査)
ミステリーコール(覆面調査)は、専門の調査員が一般の顧客になりすましてコールセンターへ電話をかけ、実際の応対品質を評価する手法です。日頃のモニタリングでは察知しにくいオペレーターの素の応対態度や、混雑時のつながりやすさを客観的に計測できます。外部の視点を取り入れることで、社内では気付けない改善点の発見に役立ちます。
アンケート調査
アンケート調査は、電話対応が終了した直後やIVR(自動音声応答)、Webサイトなどを通じて顧客から直接評価や意見を収集する手法です。応対への満足度や説明のわかりやすさについて顧客の生の声を把握できます。集計データを定期的に分析することにより、顧客視点での課題を発見し、迅速な改善につなげられます。
コールセンターの品質管理を実施する際の注意点
品質管理を効果的に機能させるためには、単に数値を測定するだけでなく、運用上の留意点を押さえる必要があります。
品質管理の専任担当を決める
品質管理を継続的に行うためには、評価や分析を担当する役割を明確にすることが重要です。センターの規模や体制に応じて専任者の配置や兼任体制を検討し、評価基準や実施方法を統一することで、評価のばらつきを抑えやすくなります。
評価基準だけでなく、顧客の気持ちに寄り添う
指標の数値を追うあまり機械的なマニュアル対応に陥ると、かえって顧客の不満を招く恐れがあります。言葉遣いや処理速度といった形式的な評価項目だけでなく、顧客の抱く不安や悩みに共感する姿勢を重視すべきです。感情に寄り添う誠実な姿勢が、顧客体験価値の向上につながります。
継続的に品質管理とフィードバックを行う
品質管理は一朝一夕で成果が出ないため、定期的な評価とフィードバックのサイクルを回し続けることが不可欠です。測定結果を放置せず、オペレーターへ具体的な改善案とともに還元する機会を設けます。定期的に指導や対話を重ねながら課題を解決し、組織全体の品質向上につなげます。
AIや品質管理ツールの活用もおすすめ
品質管理の効率化・高度化には、AIや各種管理ツールの活用も有効です。例えば、音声認識AIなどを活用して通話内容をテキスト化し、応対データを分析することで、品質管理者によるモニタリングや評価業務の効率化につなげられます。
また、分析・評価結果を活用して、評価者間のカリブレーションやフィードバック内容の具体化・標準化を支援するなど、品質評価の質を高めるための活用も考えられます。こうしてデジタル化した応対データは、品質管理だけでなく、日々の応対業務にも活用できます。例えば、通話内容のテキスト化や要約などを応対履歴の作成に活用することで、オペレーターの後処理業務を支援することも考えられます。
デジタル化した応対データを、品質管理と日々の応対業務の双方で活用することで、品質管理の効率化・高度化だけでなく、現場業務の効率化にもつなげていくことができます。
※参考:デジタルガバナンス・コード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~|経済産業省
まとめ
コールセンターの品質管理は、顧客満足度の向上と業務効率化を実現するために欠かせない取り組みです。コールセンターの品質は「応対品質」「接続品質」「運営品質」「処理品質」などの観点から評価されます。それぞれの状況に応じたKPIを設定し、継続的に数値を確認することが改善につながります。
また、モニタリングやアンケート調査などを組み合わせることで、数値だけでは把握しにくい課題も確認できます。こうした品質管理を継続するには、現場の状況を把握しやすく、業務を効率的に支えられる環境を整えることも重要です。
CT-e1/SaaSは、場所を問わず、必要なときに必要な分だけ利用できるクラウド型CTIソリューションです。通話録音やレポート機能に加え、各種システムとの連携にも対応しており、応対状況や運営状況の可視化を支援します。また、音声認識やAIソリューションと組み合わせることで、品質管理や業務改善の高度化にも活用できます。
コールセンターの品質管理や業務改善に向けた環境整備を検討する際は、CT-e1/SaaSの活用をご検討ください。
