ブログ

BLOG 都築電気ブログ

物流統括管理者(CLO)の役割と実務をわかりやすく解説

作成日:2026年8月6日

企業の持続的な成長において、物流体制の見直しは避けて通れない最重要課題です。本記事では、法改正により選任が義務化された「物流統括管理者(CLO)」の基礎知識や具体的な役割、選任に必要な要件をわかりやすく解説します。自社のサプライチェーンを最適化し、物流効率化を推進する具体的な方法についても網羅的に解説した記事です。


TCloud for SCM資料ダウンロード


物流統括管理者(CLO)の基礎知識

物流統括管理者(CLO)とは何か

物流統括管理者と物流部長との違い

海外と日本の位置付けの違い

物流統括管理者の義務化が進む理由

2024年問題による人手不足のため

物流関連2法の改正により物流効率化法が施行されたため

2030年度に向けた政府方針と中長期計画のため

物流統括管理者の対象企業と選任要件

特定荷主の基準と義務化対象企業

物流統括管理者に求められる権限・スキル

物流統括管理者の役割

物流全体業務を最適化する

社内外との連携を行う

コストを削減し積載率向上を目指す

物流DXを推進する

人材を確保する

物流統括管理者が実施すべき業務

 貨物重量の把握と特定荷主の届出(CLO選任前の手続)

中長期計画を作成し提出する

定期報告をする

サプライチェーン全体を最適化する

物流統括管理者の業務を成功に導くコツ

データをデジタル化する

物流DXに取り組む

物流統括管理者の選任をスムーズに進めるコツ

対応範囲を決める

経営層へ説明し社内の合意を得る

物流統括管理者に関するよくある質問

物流統括管理者の選任はいつから必要か

義務化でサプライチェーンはどう変わるか

まとめ


物流統括管理者(CLO)の基礎知識

物流の重要性が高まる中、新たな経営層の役職として注目されているのが物流統括管理者(CLO)です。

 

物流統括管理者(CLO)とは何か

物流統括管理者(CLO)とは、企業の経営層として物流の最適化を主導する責任者です。Chief Logistics Officerの略称であり、日本語では『最高物流責任者』とも呼ばれます。法改正によって特定荷主および特定連鎖化事業者に選任が義務付けられました。

 

物流統括管理者と物流部長との違い

物流部長は現場の運行管理やコスト削減といった実務執行を担う役職です。一方で、物流統括管理者は、経営の視点からサプライチェーン全体を横断的に俯瞰します。全社的な投資判断や他部門との利害調整を行う権限を持つ点が大きな相違点です。

 

海外と日本の位置付けの違い

一般的に、海外でのCLOは、CEOやCOOと並ぶ経営幹部(CxO)の一員として定着しています。一方、日本国内では、物流をコスト部門と捉える傾向が強いとされています。しかし、近年の法制化により日本でも経営層の一員として位置付けることが急務となっています。

 

物流統括管理者の義務化が進む理由

近年、国内の物流を取り巻く環境は激変しており、法的なアプローチによる体制強化が求められています。

 

2024年問題による人手不足のため

トラックドライバーの働き方改革に伴い、年間時間外労働の上限が960時間に制限されました。これにより労働時間が短縮され、輸送力の不足が懸念される「2024年問題」が深刻化しています。深刻な人手不足に対応し、持続可能な輸送体制を維持するためには、荷主企業側での効率的な運行管理や荷待ち時間の削減が不可欠となりました。

 

物流関連2法の改正により物流効率化法が施行されたため

2024年5月、『流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律』(改正物流関連2法)が公布されました。これにより流通業務総合効率化法は『物資の流通の効率化に関する法律』(物流効率化法)へと改められ、荷主企業に対する規制が大幅に強化されました。

 

2025年4月施行により、全ての荷主・物流事業者へ荷役作業の効率化やトラックの停滞時間削減(荷待ち時間の短縮)の努力義務が設けられています。

 

単なる努力義務にとどまらず、一定規模以上の企業に対して責任者の選任や計画提出を義務付けることで、国を挙げた物流改革を推進しています。

 

※参考:報道発表資料:流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令を閣議決定|国土交通省

 

2030年度に向けた政府方針と中長期計画のため

政府は2030年度に向け、輸送能力が不足するリスクを回避するための具体的な行動計画を掲げています。特定荷主等に指定された企業は、物流の効率化に向けた中長期計画を作成し、定期的に国へ報告しなければなりません 。場当たり的な改善ではなく、経営戦略の一環として長期的な視点で物流体制を見直すことが、すべての対象企業に求められています。

 

※参考:我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議|内閣官房

 

物流統括管理者の対象企業と選任要件

法改正により、すべての企業ではなく、一定の基準を満たす「特定荷主」に対して物流統括管理者の選任が義務付けられます。

 

特定荷主の基準と義務化対象企業

年度の取扱貨物重量が9万トン以上となる荷主が「特定荷主」に指定されます。荷主は、自らトラック事業者等と運送契約を締結する「第一種荷主」と、運送契約は締結しないものの他社が手配したトラックとの間で貨物の受渡しを行う「第二種荷主」に分かれ、それぞれ区分して判定します。前年度の実績が基準以上となった場合は、事業所管大臣への届出が必要です。

 

※参考:物流効率化法について|METI/経済産業省

 

物流統括管理者に求められる権限・スキル

物流統括管理者には、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位と全社的な意思決定を行う権限が求められます。単に物流の実務に精通しているだけでなく、経営戦略と物流を紐づけて考える視点が必要です。さらに、他部門や社外のサプライチェーン関係者と円滑に交渉し、改革を主導するための強力なリーダーシップも不可欠です。なお、勤務場所・常勤/非常勤は問われず、他の職務との兼務も可能です。

 

CLOを選任しない場合は100万円以下の罰金、選任・解任の届出を怠った場合は20万円以下の過料が科されます。

 

物流統括管理者の役割

物流統括管理者は、従来の現場管理を超えた多角的な視点から、企業全体の物流体制を再構築する役割を担います。なお「コスト削減」「人材確保」は、法令上のCLOの業務そのものではなく、CLOの取り組みによって期待される効果です。

 

物流全体業務を最適化する

物流統括管理者は、部分最適な改善にとどまらず、全社的な物流業務の最適化を推進します。調達から製造、販売に至るまでのプロセスを俯瞰し、無駄のない一貫した体制を築くことが重要な任務です。

 

社内外との連携を行う

自社内の営業や製造部門との利害調整を行うだけでなく、社外の運送事業者とも緊密に連携します。双方にメリットがある関係性を構築し、サプライチェーン全体の円滑な運用を実現するための架け橋となります。

 

コストを削減し積載率向上を目指す

配送ルートの見直しや共同配送の導入により、物流コストの削減とトラックの積載率向上を追求します。積載率を高めることは、コスト面だけでなく環境負荷の低減やドライバーの負担軽減にも直接つながる重要な取り組みです。

 

物流DXを推進する

デジタル技術の活用により、属人的だった物流業務の可視化や効率化を主導します。倉庫管理システム(WMS)の導入や、データを活用した配送計画の策定を推進し、時代の変化に即応できる先進的な体制を構築します。

 

人材を確保する

労働環境を改善し、魅力ある職場づくりを推進することで、深刻化するドライバーや現場スタッフなどの人員不足に対応できます。外部のパートナー企業とも良好な関係を維持し、長期的に安定した輸送能力を確保するための体制を整えます。

 

物流統括管理者が実施すべき業務

義務化に伴い、物流統括管理者は法律で定められた具体的な実務を確実に遂行していく必要があります。

 

貨物重量の把握と特定荷主の届出(CLO選任前の手続)

貨物重量の把握と特定荷主の指定に係る届出は、CLOの選任前に企業として行う手続です。前年度の取扱貨物重量が9万トン以上となった場合、原則として翌年度5月末までに事業所管大臣へ届出を行い、指定を受けた後、速やかにCLOを選任して遅滞なく届け出ます。CLOの選任後は、中長期計画の作成・提出と定期報告の統括がCLOの業務となります。

 

※参考:物流効率化法改正による荷主の義務とは | 公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会

 

中長期計画を作成し提出する

中長期計画は、特定荷主の指定を受けた年度の7月末までに提出します(2026年度に指定された企業のみ、特例で10月末まで延長されています)。計画内容に変更がなければ毎年の提出は不要で、次回は最後に提出した計画の最終年度の翌年度7月末が提出期限です。

 

定期報告をする

計画の進捗状況や、実際の貨物輸送における効率化の成果について、年に1回の定期報告を行います。単に数値を報告するだけでなく、目標に対する達成度や課題を分析し、次年度の改善に繋げる必要があります。定期報告は、指定を受けた翌年度から毎年度7月末が提出期限です。

 

サプライチェーン全体を最適化する

自社内の改善にとどまらず、原材料の調達から最終顧客への配送に至るサプライチェーン全体を横断的に最適化します。取引先や運送事業者と一丸となり、無駄のない持続可能な物流体制を構築します。

 

物流統括管理者の業務を成功に導くコツ

選任された物流統括管理者がその役割を十分に果たすためには、業務を円滑に進めるためのポイントを押さえる必要があります。

 

データをデジタル化する

物流業務の現状を正確に把握するため、まずは手書きの伝票やアナログな管理手法を廃止し、データをデジタル化します。運行時間、荷待ち時間、積載率などの数値をリアルタイムで可視化することにより、客観的なデータに基づいた課題の抽出や迅速な意思決定が可能となります。

 

物流DXに取り組む

単なるデジタル化にとどまらず、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)へと発展させます。自動化システムやAIを活用した配送計画などを導入することで、業務プロセスを抜本的に変革できます。これにより、業務の標準化が進み、属人化の解消と業務効率化を同時に実現できます。

 

物流統括管理者の選任をスムーズに進めるコツ

義務化への対応を遅滞なく進めるためには、社内体制の整備と関係者の理解を早期に得ることが重要です。

 

対応範囲を決める

物流統括管理者が管轄する業務組織の範囲を明確に定義します。調達から製造、販売、さらには返品対応に至るまで、どの範囲までを対象とするかをあらかじめ策定します。役割の重複や責任の所在が曖昧になる事態を防ぎ、全社的な施策を迅速に展開できる体制を整えることが重要です。

 

経営層へ説明し社内の合意を得る

物流改革が経営戦略に直結する重要課題であることを経営層に説明し、深い理解を得ます。役員クラスの権限を持つ役職であるため、トップダウンでの強力な後押しが不可欠です。社内の各部門に対しても法改正の背景や選任の必要性を共有し、全社的な協力体制を構築します。

 

物流統括管理者に関するよくある質問

多くの企業から寄せられる、義務化の開始時期や体制変更に伴う影響についての疑問を解説します。

 

物流統括管理者の選任はいつから必要か

改正物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)は2024年5月に公布され、2025年4月1日に荷主・物流事業者への努力義務が、2026年4月1日に物流統括管理者(CLO)の選任義務を含む特定事業者向けの規制的措置が施行されました。

 

前年度の取扱貨物重量が9万トン以上となった荷主は、原則として翌年度5月末までに特定荷主の指定に係る届出を行い、指定後は速やかにCLOを選任し、遅滞なく届け出る必要があります。

 

※参考:物流統括管理者(CLO)の選任 | 「物流効率化法」理解促進ポータルサイト

※参考:物流効率化法について|METI/経済産業省

 

義務化でサプライチェーンはどう変わるか

経営層が直接物流改革を主導することで、部門間の壁を越えた効率化が加速します。荷待ち時間の短縮や共同配送の推進により、トラックの積載率が大幅に向上します。結果として、無駄なコストや二酸化炭素排出量が削減され、より強固で持続可能なサプライチェーンへと進化します。

 

まとめ

改正物流効率化法の施行に伴い、特定荷主・特定連鎖化事業者には物流統括管理者(CLO)の選任が義務付けられました。CLOは単なる現場の役職ではなく、経営層の一員としてサプライチェーン全体を横断的に最適化する重要な役割を担います。

 

2024年問題をはじめとする人手不足や輸送能力の低下に対応するためには、デジタルデータの活用や物流DXの推進による劇的な効率化が不可欠です。持続可能な物流体制を構築するために、社内の体制を整備し物流統括管理者を選任しましょう。

 

都築電気株式会社のTCloud for SCMは、スマートフォンを活用したクラウド型動態管理・配送管理サービスです。

 

スマートフォンを活用し、荷待ち・積載量・委託先の配送状況が可視化できるため、委託先含めた配送状況や周辺情報を可視化し、管理できます。詳しくはTCloud for SCMご紹介資料をご覧ください。