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特定荷主とは?省エネ法・物効法における基準・義務・罰則を詳しく解説

作成日:2026年3月31日

物流2024年問題による輸送力不足を背景に、荷主の責任がこれまで以上に問われる時代になりました。そのなかで注目されているのが、一定規模以上の貨物輸送を依頼する事業者に定められた「特定荷主」制度です。

 

今回は、物流業界に携わる人や物流の効率化に課題を感じている人向けに、「省エネ法」と「物流効率化法」における特定荷主の基準や義務について詳しく解説します。特定荷主に課された責任を知り、物流の効率化に努めましょう。


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特定荷主とは?

特定荷主が定められている法律

省エネ法における特定荷主の義務・罰則

 省エネ法における特定荷主の基準

 省エネ法における特定荷主の義務

中長期計画の作成・提出

定期報告の提出

貨物の輸送量届出書の提出

 省エネ法における特定荷主の罰則

物流効率化法における特定荷主の義務・罰則

 物流効率化法における特定荷主の基準

 物流効率化法における特定荷主の義務

中長期計画の作成・提出

定期報告の提出

物流統括管理者の選任

 物流効率化法における特定荷主の罰則

特定荷主が取り組むべきこと

 貨物重量の把握

 中長期計画の策定

 荷待ち・荷役時間などのデータ取得

 定期報告書の作成

 物流部門の設立・物流統括管理者の選任

まとめ

特定荷主とは?

特定荷主とは、一定規模以上の貨物輸送を物流業者に依頼している荷主のうち、国が指定している事業者を指します。近年はトラックドライバー不足や輸送効率の低下が深刻化しており、物流業者だけではなく荷主側にも責任ある対応が求められています。

 

特定荷主に指定された事業者は、「省エネ法」や「物流効率化法」(通称「物効法」)に基づき、物流の最適化に関する取り組みや報告書の提出を行わなければなりません。

 

特定荷主が定められている法律

特定荷主は、「省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)」と「物流効率化法」の2つの法律で定義されています。

 

省エネ法は物流業務における省エネルギー化や非化石エネルギーへの転換などへの取り組みを義務付けた法律で、物流効率化法は輸送の効率化に向けた取り組みを義務付けた法律です。それぞれ異なる基準や義務が定められているため、一定規模の貨物輸送を依頼している荷主は基準に当てはまるかどうか調査した上で対応する必要があります。

 

 



省エネ法における特定荷主の義務・罰則

省エネ法では、地球温暖化対策やカーボンニュートラル化に向けたさまざまな義務が設けられています。

 

省エネ法における特定荷主の基準

省エネ法における特定荷主は、年間の貨物輸送量が一定規模以上となる事業者が対象です。具体的には、前年度の年間貨物輸送量が3,000万トンキロ以上となった場合に特定荷主となります。ここでの単位「トンキロ」とは、貨物の輸送量(単位:トン)×貨物の輸送距離(単位:キロメートル)で算出します。

 

省エネ法における特定荷主の義務

新たに特定荷主の対象となった場合、「貨物の輸送量届出書」を翌年度の4月末日までに提出する必要があります。また、毎年6月末日までに「特定荷主中長期計画書」と「特定荷主定期報告書」を提出しなければなりません。

 

中長期計画の作成・提出

特定荷主は、エネルギー使用の合理化に関する中長期計画を作成し、毎年所管官庁の主務大臣へ提出する義務があります。計画書には、エネルギー削減目標や省エネ施策など、具体的な取り組み内容を盛り込まなければなりません。計画の進捗や実績は定期報告で提出するため、実現可能な範囲の計画を定めることが大切です。

 

定期報告の提出

特定荷主は、毎年度ごとにエネルギー使用状況・前年度の貨物輸送量・CO2排出量などについて定期報告を行う義務があります。加えて、中長期計画で定めた施策の進捗状況も報告しなければなりません。行政は定期報告をもとに事業者の取り組みを評価し、必要に応じて指導や勧告を行います。

 

貨物の輸送量届出書の提出

前年度の貨物輸送量を受けて新たに特定荷主となった事業者は、貨物の輸送量届出書を提出して特定荷主の登録を行わなければなりません。届出書には、前年度の貨物輸送量やエネルギー使用量を記載します。

 

なお、特定荷主として登録していた事業者が事業を廃止するときや、年間の輸送量が基準を上回る見込みがなくなったときは、「特定荷主指定取消申出書」を提出することで特定荷主の登録を取り消すことができます。

 

省エネ法における特定荷主の罰則 ・経営リスク

特定荷主が義務を果たさなかったり虚偽の報告をしたりした場合は、50万円以下の罰金を科せられます。また、取り組みが不十分と判断された場合は、国による指導・勧告や事業者名の公表、100万円以下の罰金が科せられます。省エネ法の遵守は、物流業界での信用を守る上でも重要です。

 

物流効率化法における特定荷主の義務・罰則

物流効率化法は、2024年5月に改正が公布され、2025年4月に施行されたばかりの法律です。こちらの法律では、さまざまな物流課題や物流の効率化に対する対策や義務が課されています。

 

物流効率化法における特定荷主の基準

物流効率化法における特定荷主は、第一種荷主(発荷主事業者)と第二種荷主(着荷主事業者)どちらも前年度の年間取扱貨物量が9万トン以上が指定基準値となっています。なお、貨物の輸送方法はトラック輸送のみで、鉄道や海運を利用した輸送は算出の対象外となります。

 

このほか、年間の貨物の保管量が70万トン以上の特定倉庫事業者や保有車両台数が150台以上の特定貨物自動車運送事業者なども特定荷主として定められています。

 

物流効率化法における特定荷主の義務

物流効率化法で特定荷主に定められた事業者は、初年度に「輸送量届出書」を経済産業局長宛に提出しなければなりません。また、毎年の「中長期計画」と「定期報告」の提出や社内における物流統括管理者の選任が義務付けられています。

 

中長期計画の作成・提出

特定荷主は、毎年6月末日(2027年度以降は7月末日)までに物流効率化に関する中長期的な改善計画を策定し、行政へ提出する義務が課されています。計画書には、省エネ法に基づく中長期計画書と同様に、荷待ち時間削減・積載効率向上・輸送回数の最適化などの具体的な取り組み内容を明示します。社内での課題やこれから取り組んでいく施策を考慮し、実現可能な目標を立てることが大切です。

 

定期報告の提出

特定荷主は、毎年の指定期日までに策定した中長期計画の進捗や前年度の運輸実績を報告する義務があります。定期報告書には、荷待ち時間や荷役時間の実績のデータを記載しなければなりません。行政は定期報告から事業者の取り組み状況を把握し、必要に応じて助言や指導を行います。

 

物流統括管理者の選任

特定荷主には、社内における物流統括管理者を選任し、社内の物流管理体制を整備する義務も課されています。物流統括管理者は社内の物流部門のトップとして、行政に提出する計画書・報告書の作成をはじめとしたさまざまな業務を行う役職です。基本的には社内の従業員や役員から登用しますが、適切な人材がいない場合は外部から登用するケースもあります。

 

物流効率化法における特定荷主の罰則・経営リスク

特定荷主が物流効率化法で定められた義務を履行しなかった場合も、省エネ法と同様に行政指導や罰則が科せられます。事業者名が公表される可能性もあるため、法的な義務に沿って正しく事業運営をすることが重要です。ただし、改正法が施行された直後のため、規制的措置は2026年4月以降の施行とされています。

 

特定荷主が経営リスク解消のために取り組むべきこと

省エネ法や物流効率化法で特定荷主に定められた事業者は、それぞれの法律で課された義務を果たすためにさまざまな対応を行う必要があります。

 

貨物重量の把握

貨物重量の把握は、特定荷主だけでなく、全ての物流事業者に必要な工程です。自社が委託する貨物の重量や輸送量を正確に記録・算出し、特定荷主に該当するかどうかを確認しましょう。

 

中長期計画の策定

特定荷主に該当する事業者は、省エネ法と物流効率化法それぞれで提出する中長期計画を策定する必要があります。省エネ法の特定荷主に該当する場合はエネルギー使用量に関する具体的な目標、物流効率化法の特定荷主に該当する場合は荷待ち時間や物流管理に関する具体的な目標を設定しましょう。

 

荷待ち・荷役時間などのデータ取得

特定荷主は、毎年の定期報告で提出が義務付けられているエネルギー使用量や荷待ち時間・荷役時間などのデータを収集しなければなりません。日々の運行でデータ記録を行い、社内でデータ管理・分析を行いましょう。近年は特定荷主をはじめとした物流業者向けのデータ記録サービスも増えており、DX化によって業務を効率化することも可能です。

 

定期報告書の作成

特定荷主は、取得した運行データや中長期計画をもとに毎年の定期報告書を作成する義務があります。前年度の輸送実績や業務改善状況を正確に記載し、法令を遵守することが大切です。

 

物流部門の設立・物流統括管理者の選任

物流効率化法では、物流の効率化を継続的に推し進めるために、専任の物流部門の設置や物流統括管理者を中心とした体制の整備も求められます。社内の管理職や役員から物流統括管理者を選定し、物流効率化に向けた取り組みを推進しましょう。

 

<物流統括管理者のおもな業務>

・中長期計画の作成

・事業運営方針の作成

・事業管理体制の整備

・各種計画書・報告書の作成及び評価

・関係部門との連携・調整

・従業員向けの社内研修の実施

 

まとめ

特定荷主制度は、物流業界が長期的に持続可能な物流体制を構築するための重要な制度です。特定荷主に定められた事業者は、省エネ法と物流効率化法に基づく義務を正しく理解し、法令を遵守しながら省エネルギー化や物流効率化に向けたさまざまな取り組みを行うことが求められます。

 

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