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トラック新法で何が変わる?内容や影響範囲、事業者の対応策を紹介

作成日:2026年3月12日

「物流の2024年問題」による労働時間の制限に加え、2026年には「多重下請け構造の是正」や「荷主への罰則強化」といった、より踏み込んだ規制が始まります。そのため、運送事業者だけでなく、荷主企業もこれまでのような「安く・便利な」輸送を維持することが難しくなり、サプライチェーン全体の抜本的な見直しは急務です。

 

本記事では、トラック新法の具体的な改正ポイントを整理し、荷主・事業者が直面するリスクや、持続可能な物流を実現するために今すぐ取り組むべき対策を詳しく解説します。

 

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トラック新法とは?

トラック新法成立の背景

物流2024年問題

深刻化するドライバー不足と高齢化

多層的な下請け構造と低い収益性

不適切な取引慣行(荷待ち・荷役)

トラック新法成立で変わること

5年ごとの事業許可更新制が導入される

運送業務の下請けが2回までに制限される

適正原価を下回る料金が禁止になる

白ナンバー車(白トラ車)の対策が強化される

トラック新法への対応

運送事業者のやるべきこと

荷主事業者がやるべきこと

トラック新法がもたらす影響

物流業界全体

運送事業者

荷主事業者

トラック新法への対応は輸配送管理システム(TMS)の導入が鍵

まとめ

トラック新法とは?

トラック新法とは、2024年5月に成立した「改正貨物自動車運送事業法」および「改正物流効率化法」の総称です。物流業界の健全化を目的に、多重下請け構造の是正や、運送事業者の参入・継続ルールの厳格化、荷主企業への責務強化を定めています。2024年問題への対応をさらに一歩進め、持続可能な物流体制を構築するための「物流変革」の要となる法律です。

 

※参考:物流・自動車:物流効率化法について - 国土交通省

 

トラック新法成立の背景

物流業界を取り巻く環境が大きく変化するなかで、ドライバー不足や長時間労働、取引慣行の是正といった課題が深刻化してきました。こうした状況を受け、持続可能な物流体制の構築と労働環境の改善を目的として成立したのが「トラック新法」です。

 

ここでは、法改正に至った社会的背景や業界が抱えていた問題点を整理し、なぜ今この法律が必要とされたのか、その背景を解説します。

 

物流2024年問題

働き方改革関連法に基づき、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に年間960時間の上限が適用されました。これにより、1人あたりの走行距離や稼働時間が減少し、従来通りの輸送ができなくなる「物流2024年問題」が深刻化しています。

 

このまま対策を講じなければ、2030年には全国の荷物の約3割が運べなくなるという試算もあり、物流網の維持は国家的な課題です。新法は、この労働時間制限下でも円滑に荷物を運ぶための仕組み作りを狙いとして策定されました。

 

※参考:トラックドライバーの新しい労働時間規制が始まります!-国土交通省

 

深刻化するドライバー不足と高齢化

運送業界は、全産業平均と比較して労働時間が約2割長く、所得が約1割低いという厳しい労働環境にあります。この「長労働・低賃金」のイメージが定着した結果、若手の入職者が激減し、現役ドライバーの高齢化が急速に進みました。将来的な労働力の確保は極めて困難な状況にあり、魅力ある職場環境への改善が急務といえます。

 

新法によって事業者の収益性を高め、それをドライバーの賃金向上や待遇改善に還元できる環境を整えることで、担い手不足の解消を目指す方針です。

 

※参考:我が国の物流を取り巻く現状と取組状況-2022年9月2日 経済産業省・国土交通省・農林水産省

 

多層的な下請け構造と低い収益性

日本の物流業界は、大手元請けが受注した荷物を2次、3次と下請けに出す「多重下請け構造」が常態化してきました。階層が深くなるほど中間マージンが抜かれるため、実際に荷物を運ぶ「実運送事業者」には十分な運賃が支払われない仕組みになっています。

 

これがドライバーの低賃金や、車両のメンテナンス・安全投資の不足を招く元凶となっていました。新法ではこのブラックボックス化した構造を透明化し、適正な利益が現場へ行き渡るように規制を強化しています。

 

不適切な取引慣行(荷待ち・荷役)

物流現場では、荷主側の都合で数時間も待機させられる「荷待ち」や、契約に含まれない「荷役(手作業での積み下ろし)」が無償で行われるなど、ドライバーへの過度な負担が慣習化していました。

 

これらの作業はドライバーの拘束時間を大幅に延ばす要因でありながら、運賃とは別個に料金が支払われないケースが大半です。新法では荷主企業に対しても、これらの非効率な慣行を是正するための計画策定や実施を義務付け、サプライチェーン全体の効率化を求めています。

 

トラック新法成立で変わること

トラック新法の成立により、これまで物流業界が抱えてきた構造的な課題に対して、具体的な制度改正や新たなルールが導入されました。ここからは、トラック新法によって何がどのように変わるのかを整理し、実務や業界全体への影響を解説します。

 

5年ごとの事業許可更新制が導入される

トラック事業の許可制度は、これまでの「一度取得すれば永続的」という仕組みから、5年ごとの更新制へと厳格化されます。更新の際には、社会保険への加入状況や最低賃金の遵守、安全基準の徹底といった経営実態が厳しくチェックされる予定です。

 

この制度の狙いは、法令を遵守できない悪質な事業者を市場から排除し、健全な経営を行う事業者が正当に評価される環境を整えることにあります。

 

※参考:トラック物流問題解決に向けたオンライン説明会資料-令和7年7月28日 国土交通省トラック・物流荷主特別対策室

 

運送業務の下請けが2回までに制限される

実運送体制の透明化を目的として、下請け構造は原則「2次請けまで」に制限されることとなりました。具体的には、元請けから数えて3階層目以降への再委託が厳しく規制され、あわせて「実運送体制管理簿」の作成も義務付けられています。

 

この規制により、不透明な中間マージンをカットし、実際に輸送を担う現場の事業者に適正な報酬が残る仕組みが整います。

 

適正原価を下回る料金が禁止になる

燃料費や人件費などの必要経費を賄えない「不当な低運賃」での契約は、新法において明確に禁止されます。これまでは荷主側の立場が強く、コスト増を運賃に転嫁しにくい状況が続いてきましたが、今後は適正な原価に基づいた料金設定が法律上の義務となります。事業者が無理な安値受注から脱却し、健全な利益の確保が期待できるでしょう。

 

※参考:改正トラック法 (貨物自動車運送事業法)が施行されます-国土交通省

 

白ナンバー車(白トラ車)の対策が強化される

無許可で有償運送を行う「白トラ行為」への監視体制と罰則が、新法によって一層強化されます。自家用トラック(白ナンバー)を使用した違法な営業活動は、公正な市場競争を阻害する重大な違反行為です。

 

特に労働力不足を背景として、安易に白ナンバー車を利用してコストを抑えようとする荷主や事業者に対しても、これまで以上に厳しい目が向けられます。

 

トラック新法への対応

トラック新法の施行により、事業者には法令遵守にとどまらず、これまでの業務体制や管理方法も見直さなければなりません。ここでは、トラック新法に対応するためのポイントを解説します。

 

運送事業者のやるべきこと

最優先で取り組むべきは、自社の輸送原価を精密に算出し、適正な運賃を荷主へ提示できる「価格交渉力」を養うことです。下請け制限への対応として、自社の配車体制を見直し、実運送者を即座に把握できる体制の構築も欠かせません。

 

さらに、5年ごとの許可更新を見据えて、労務管理や安全管理のデジタル化を推進し、常に法令遵守を証明できる状態を維持すべきです。

 

荷主事業者がやるべきこと

荷主企業は「物流はコスト」という認識を捨て、事業継続に不可欠なインフラとして捉え直す姿勢が求められます。具体的な対策としては、荷待ち時間の短縮に向けた施設改善やパレット化の推進、発注時間の見直しなどが推奨です。

 

一定規模以上の特定荷主には「物流効率化責任者」の選任が義務化され、取り組みが不十分な場合には勧告や社名公表のリスクが伴います。

 

トラック新法がもたらす影響

トラック新法の成立・施行は、トラック事業者だけでなく、荷主や消費者を含む物流全体に幅広い影響を及ぼします。最後に、トラック新法が業界や事業者にもたらす影響を整理し、今後想定される変化について解説します。

 

物流業界全体

「安さ」のみを追求する従来のビジネスモデルは限界を迎え、今後は法令遵守と効率性を両立できる企業が選ばれる時代へ移行します。デジタル技術を活用した物流DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、業界全体の近代化が進むでしょう。

 

一方で、法令遵守意識の低い企業や非効率な小規模事業者は、市場からの淘汰や再編を免れない厳しい局面を迎えることが予想されます。

 

運送事業者

多重下請けの是正により、実運送を担う企業が適正な利益を得やすい構造へと変化します。ただし、その恩恵を受けるためには、自社のコストや運行実績を正確にデータ化し、交渉の根拠を示す能力が不可欠です。

 

また、5年ごとの更新制によって経営の透明性が常に問われることとなります。より組織的で強固なガバナンス体制の構築が、これからの時代を生き残るための絶対条件といえるでしょう。

 

荷主事業者

物流コストの上昇を前提とした事業計画の策定や、製品価格への転嫁といった経営判断を迫られることになります。これは一見負担増ですが、無駄な輸送を削減し、サプライチェーン全体を最適化する絶好の機会です。

 

物流効率化を軽視する企業は、運送会社から「選ばれない荷主」となり、出荷不能という致命的なリスクを抱えかねません。

 

トラック新法への対応は輸配送管理システム(TMS)の導入が鍵

新法が求める実運送体制の可視化や待機時間の正確な把握には、輸配送管理システム(TMS=Transport Management System)の活用が最も効果的です。アナログな管理では対応しきれない複雑な報告義務も、デジタル化によってスムーズに完結できます。

 

TMSを導入すれば、車両の動態管理により「荷待ち時間」を客観的なデータとして可視化でき、荷主との交渉において強力なエビデンスとなります。また、最適な配送ルートの策定はドライバーの拘束時間短縮に直結し、働き方改革への対応を強力に支援するでしょう。

 

TMSは法令遵守の徹底と収益向上の両立を目指す事業者にとって、TMSは新法時代を勝ち抜くための不可欠なインフラです。

 

まとめ

トラック新法の施行により、物流業界は「透明性」と「適正取引」が重視される新時代へ突入しました。事業許可更新制や下請け制限への対応の遅れは、そのまま事業継続リスクに直結します。運送事業者・荷主双方がデジタル技術を駆使し、物流効率化の推進が不可欠です。

 

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