PBX(交換機)とは?クラウドでも必要なPBXの基礎知識
作成日:2024年11月15日
テレワークやハイブリッドワークなど働き方が多様化する中で、社内の電話運用のあり方を工夫する必要性が高まっています。そこで注目されているのがPBX(交換機)です。PBXを導入することで外線・内線ともに電話運用を効率化することができます。
本記事では、PBXの必要性や形態(オンプレ/クラウド)による特徴の違いを中心に、PBXの基礎知識を解説します。
■PBX(交換機)とは
・PBX(交換機)の形態
■PBXはなぜ必要?
・外線通話における必要性
・内線通話における必要性
■オンプレPBXとクラウドPBXの特徴
・オンプレPBXの特徴
・クラウドPBXの特徴
■まとめ:電話運用の観点からも最適なPBXの検討を
■PBXとは
PBXとは、Private Branch eXchangeの略。
企業などの拠点内に設置し、複数の電話機やFAX、構内放送設備などを接続し、外線を効率的に振り分けたり、内線の転送を自由に行ったりできるシステムです。
いわば、電話コミュニケーションをより円滑に、より便利にするためのシステムであるといえます。
PBX(交換機)の形態
PBXは、インフラのIP化からシステムのクラウド化の変遷に合わせて、オンプレPBX(IP構成)、クラウドPBXと変遷し、現在は大きく3種類の形態があります。
・オンプレPBX(レガシー構成)
PBXから電話機などそれぞれに配線接続する形態であり、電話機の給電はPBX本体から可能です。
配線はPBXと各端末が1対1のため、ケーブルが壊れた際、他配線に影響を受けにくい特徴があります。
・オンプレPBX(IP構成)
PBXからスイッチを経由しIP電話機などに接続する形態であり、IP電話機の給電先は給電スイッチまたはACアダプター経由の商用電源となります。
配線はLANを利用するため、データ用LANとインフラ共用も可能です。
・クラウドPBX
クラウドサービスとしてPBXをデータセンターに設置する形態で、お客様のオフィスからインターネットを経由してPBX機能を利用するサービスです。クラウドPBXからIP網、スイッチを経由しIP電話機などに接続します。IP電話機の給電先は給電スイッチまたはACアダプター経由です。オフィスの配線はLANを利用するため、データ用LANとインフラ共用も可能です。
現時点ではオンプレPBXの方が普及していますが、2020年のコロナ禍を契機にクラウドPBXサービスへの移行が進み、今後もクラウドPBXの普及は進んでいくものと考えられています。
■PBX(交換機)はなぜ必要?
企業において、PBXはなぜ必要なのでしょうか?
外線通話と内線通話それぞれにおける必要性について解説します。
外線通話における必要性
PBXがない場合、電話回線と電話機を1対1で紐づける必要があり、すべての電話機について回線契約が必要であるため、手間・管理の負担が増大します。また、全電話機分の回線を契約することによる通信コスト(基本料金など)の増加も課題となります。かかってきた電話は他の人へ転送できないなど、使い勝手も良くありません。
PBXであれば、着信の振り分けは交換機にお任せできるため、電話機台数分の電話回線契約は不要です。企業の外線トラフィック(通信量)に見合った適正な電話回線数の契約ができるようになり、かかってきた電話はPBX機能で自由に転送できるため利便性が高まります。
内線通話における必要性
内線通話においてPBXがない場合、電話機台数分の電話回線契約が必要です。拠点内の通話でも通話料金が発生し、基本料・通話料の通信コストが増加するほか、03-XXXX-XXXXのように外線番号での通話が必用となり、手間がかかります。
一方でPBXがある場合、内線間はPBXが接続するため、電話回線契約は外線利用に必用な本数を契約するだけで済みます。内線同士の通話は無料で、拠点内の通話は内線番号での通話となるため、PBXがない場合の課題を解決することが可能です。
以上をまとめると、PBXは外線と内線、および内線同士の通話、通話の転送などを効率的に制御可能なシステムとなっています。電話機能も豊富で、各企業の電話運用に合ったシステムの設計・構築が可能です。
■オンプレPBXとクラウドPBXの特徴
ここまで紹介してきたオンプレPBXとクラウドPBXにはそれぞれ特徴があり、優れている点と課題が存在します。
オンプレPBXの特徴
オンプレPBXは、構内PHSの活用などオフィスの特性に応じたシステムが構築可能であり、システムとして安定している点や、音声品質が優れている点がメリットです。
一方でデメリットとしては、オフィス単位での投資・運用管理のため個別最適になりがちで、設備ごとの老朽化状況に応じた設備更新が必要なことや、テレワーク・ハイブリッドワークへの対応が難しいことなどが挙げられます。
クラウドPBXの特徴
クラウドPBXのメリットとしては、どこでも電話を受けられる仕組みであることが挙げられます。内線電話に関しても、スマホ内線アプリやPCのソフトフォンを使うことができるため働く場所を選ばず、多様な働き方への対応が可能です。また、サービス提供型であるため自社で設備を保有しないため設備が老朽化する心配がなく、メンテナンスの負担軽減も期待できます。
一方で、インターネットベースのサービスであるため、オンプレPBXと比較して音声品質が若干劣る点や、PHSなどの専用の端末を利用できないことはデメリットです。
音声品質面では、トライアルを実施した上で導入を検討されることを推奨いたします。
なお、オンプレとクラウドを組み合わせて利用するハイブリッドPBXもあり、電波が届きにくい工場など個別最適での対応が必要な場所での利用が想定されます。
■まとめ:電話運用の観点から最適なPBXの検討を
それぞれのPBXの形態には一長一短があり、自社の企業形態や電話システムの運用方法などによって変わるため、一概にオンプレPBXとクラウドPBXのどちらが優れているとは言えません。
電話の運用面からの考慮も必要です。昨今ではテレワークをはじめ働き方が多様化していることから、コミュニケーション環境や電話運用の見直しを多くの企業が進めています。電話運用のベースとして、従来からグループ電話運用と個人電話運用がありますが、これはPBXの提供形態(オンプレPBX・クラウドPBX)やデバイスの選定にも大きく関連する要素です。
例えば従来の代表電話番号を利用したグループ電話運用の場合、テレワークやハイブリッドワークの働き方では運用に合わないため、個人ダイヤルイン番号を準備して個々人で電話の受付を行う運用に変更する必要があります。
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TCloud for Voiceはデバイスフリーを実現しており、店舗にいないスタッフでも電話着信をスマホやPCで応対可能であるため、働き方の変化に対応できます。
また、従来のオンプレミス資産を活かしつつクラウドPBXを活用する、ハイブリッドの構成も提供可能です。
携帯通信キャリアに依存せず、マルチキャリアやBYOD対応を実現できる点も特徴です