

情シス部門が押さえておきたい電子契約導入時のポイント
作成日:2023年10月17日
近年、DX推進の機運が高まりリモートワークが普及してきたことなどを背景に、電子契約が注目されています。電子契約には業務効率化やコンプライアンス強化などさまざまなメリットがありますが、どのような契約システムを導入すれば良いかわからない方も多いかもしれません。そこで本記事では、情シス部門が特に押さえておきたい電子契約導入時のポイントや、導入時のハードルなどについて解説します。
目次
電子契約とは
電子契約のメリット
-コスト削減と省スペース化
-コンプライアンス・セキュリティ強化
-業務効率化
システム導入のポイント
-汎用性が高いか
-セキュリティ対策が十分か
-外部システムと連携可能か(拡張性があるか)
電子契約の導入にはハードルも
-社内および取引先の理解を得る必要がある
-業務フローの見直しやマニュアルの整備に手間がかかる
-電子契約が認められていない契約もある
電子契約を一元管理する「DagreeX」
電子契約とは
電子契約とは、インターネットを介して電子的に締結する契約のことです。従来の紙ベースの契約では、押印や署名が必要でしたが、電子契約では代わりに電子ファイル形式の契約書を使用し、電子署名や締結日時の証明であるタイムスタンプを活用します。
近年では取り入れる企業が増えてきており、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)と株式会社アイ・ティ・アールが2022年1月に行った調査※によると、電子契約の利用企業は69.7%にまで拡大しています。
電子契約が増えている背景には、コロナ禍を機にリモートワークを導入する企業が増えたことや、多くの業界でDXが推進されていること、また電子契約に関する法整備が進んだことなどが挙げられます。
※出典:JIPDEC、ITR「企業IT利活用動向調査2022」
https://www.jipdec.or.jp/news/news/20220317.html
電子契約のメリット
電子契約を導入することで、企業は「コスト削減と省スペース化」「コンプライアンス強化」「業務効率化」といったメリットを得ることができます。
【コスト削減と省スペース化】
書面契約では紙代やインク代、郵送費、封筒代、収入印紙代に加え、契約書を保管するための倉庫代などさまざまなコストがかかりますが、電子契約ではこうしたコストがかかりません(ただし、システム導入・運用等にかかる費用は発生します)。
また、書面の契約書を保管するスペースを確保する必要がなくなるため、省スペース化も実現できます。
【コンプライアンス・セキュリティ強化】
書面契約の場合、持ち出しによる紛失や災害による消失・破損などのリスクや、管理がずさんで保管場所がわからなくなるなどのリスクがあります。
一方、電子契約であればシステム上で契約書類を管理・保管でき、バックアップもとれるため、紛失・破損といったリスクの最小化が可能です。さらに、電子署名や電子スタンプは改ざんが困難であるため、コンプライアンス強化にもつながります。
【業務効率化】
書面契約では契約書の印刷や署名・押印などの手間がかかり、さらに郵送でやり取りするため契約締結まで多くの日数を要します。契約締結後も、契約書をファイルに綴じて保管する手間や、監査などで過去の契約書が必要な場合には倉庫から探し出す手間もかかります。テレワークが普及している場合には、押印のために出社するといったムダが生じることも珍しくありません。
一方、電子契約ではすべてオンライン上でやり取りができるので、こうした手間や時間を削減できます。また、内容の修正や再送信が容易であり、検索機能を使って過去の契約書を素早く見つけ出すことも可能です。こうしたさまざまな工数の削減を通じて、業務効率化を実現できます。
システム導入のポイント
上記のようにさまざまなメリットがある電子契約ですが、システムを導入する際には注意すべきポイントがあります。主なポイントは以下の3点です。
【汎用性が高いか】
まずは、自社が作成する電子文書や証憑書類に対応できるか、また承認者・送信期日などを設定できるワークフロー機能や、契約書を保管・管理できる機能があるか、といった汎用性の面を確認します。プランや製品によって利用できる機能は異なるため、予算とも相談しながら慎重に比較・検討することが大切です。
また、ユーザビリティが低いと利用者にとってストレスになり、業務効率化の効果が薄れてしまいます。詳細なマニュアルも用意しなければならないため、担当者の負担にもなります。そのため、直感的な操作が可能な操作性の高いものを選ぶことも重要です。
【セキュリティ対策が十分か】
電子契約は物理的な紛失のリスクはありませんが、サイバー攻撃などにさらされデータが外部漏えいするリスクがあります。契約内容や個人情報などが漏えいすると、会社の信用にかかわる大きな問題となりかねません。なりすましを防ぐ多要素認証機能や閲覧範囲を制限できる機能など、セキュリティ対策が十分に施されているものを選ぶ必要があります。
JIIMA認証(電子帳簿保存法の規定要件を満たしている製品に与えられる認証)を取得しているか、また実績のあるシステムかといった点も確認しておきたいポイントです。
【外部システムと連携可能か(拡張性があるか)】
請求管理システムや販売管理システムなどの外部システムと、APIによる連携が可能かもチェックすべきポイントです。そうすることで、外部サービスと保管機能間で書類の受け渡しをすることが可能となり、さらなる業務効率化につながり、デジタル社会を見据えた業務DXを実現できます。
電子契約の導入にはハードルも
電子契約を導入する際には社内外の理解を得なければならず、また業務フローやマニュアルの見直しも必要であるなど、いくつかのハードルもあります。
【社内および取引先の理解を得る必要がある】
従来の慣れているやり方にこだわっている現場の社員が多いと、電子契約による新たな業務フローに難色を示すことが想定されます。そのため、電子契約のメリットや導入の目的などを丁寧に説明し、理解を得る必要があります。
また、電子契約は取引先の同意がないと実施できないため、取引先にも事前に電子契約の導入について伝えておき、同意を得ることが重要です。
【業務フローの見直しやマニュアルの整備に手間がかかる】
電子契約は書面契約とは業務フローが異なるため、導入の際にはフローを見直す必要があります。システムの操作方法などのマニュアルも整備しておいた方が良いですが、こうした業務には手間がかかるため、導入のハードルとなる場合があります。
導入前に電子契約のフローを整理し、システムのユーザビリティも考慮しつつ、余裕を持ってマニュアルなどを準備しておくことが理想です。
【電子契約が認められていない契約もある】
「事業用定期借地契約」や「企業担保権の設定又は変更を目的とする契約」などは、「公正証書」(私人からの依頼により、公証人がその権限によって作成する書類のこと)に基づき契約する義務があるため、電子契約が認められていません。
また、訪問販売・電話勧誘販売などの契約も、消費者保護の観点から電子契約が認められていません。
そのため、こうした電子契約が認められていない契約を行う企業は注意が必要です。
以下では、電子契約や証憑書類の一元管理を実現するサービスについてご紹介します。
電子契約を一元管理する「DagreeX」
「DagreeX」は、契約書類をはじめ、取引関係書類・社内重要書類等の証憑書類のデジタル化を推進するソリューションであり、契約「行為」のデジタル化だけでなく契約「プロセス全体」を網羅するDXサービスです。
タグ管理、フォルダ分けによる検索の効率化ができ、作成したフォルダに対し保管のルールを設定できるなど、管理に手間がかかりません。取引先からでも過去に締結した契約書の一覧検索や詳細参照、取り出しが可能であるため、業務負担が小さく、導入のハードルが低い点も特徴です。
また、取引先をマスタ登録することで誤送信を防止できるなど、セキュリティ対策も十分です。