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生成AI時代のサイバー攻撃 復旧を左右するのは、有事の意思決定スピードと備え(CSIRT/有事対応マニュアル/有事対応訓練)

作成日:2026年4月7日

サイバー攻撃は「高度な攻撃者だけのもの」ではなくなりました。生成AIの普及により、攻撃の企画から実行、手口の改変までが短時間で回り、攻撃の量と質が同時に上がる局面に入っています。これから重要になるのは、侵入を防ぐ発想に加えて、侵害された場合の「備え」を組織として持つことです。


本ブログでは、近年の脅威トレンドを踏まえながら、被害を最小化する鍵となる「意思決定の短縮」と、そのための実装手段としてのCSIRT(Computer Security Incident Response Team:コンピュータセキュリティにかかるインシデントに対処するための組織の総称* )構築・対応マニュアル整備・有事対応訓練の重要性を整理します。


*引用:日本シーサート協議会/日本シーサート協議会とは|日本シーサート協議会について ,2026/03/17


ソリューションサービスパック


■脅威のトレンド:生成AI利用をめぐるサイバーリスク

■生成AIで「コマンドが都度変わる」マルウェアが検知回避を助長

■攻撃リスクは増え、「検知しているはず」だけでは復旧は難しくなる

■被害を小さくする本質:有事の「意思決定にかかる時間」を短くする

■有効ソリューション:CSIRT構築、マニュアル作成、有事対応訓練

■まとめ/ダウンロード案内(CTA)

脅威のトレンド:生成AI利用をめぐるサイバーリスクが初選出 

IPAが公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026【組織】」では、生成AIの利用をめぐるサイバーリスクが初めて選出され、主に以下の3つが指摘されています。

・ 職場に許可なくAIを業務利用し、情報漏えいにつながる可能性

・ 実在しない情報を対話型AIが生成する可能性(ハルシネーション)

・ AIを助力に得たサイバー脅威の増長

特に、「AIを助力に得たサイバー脅威の増長」は、攻撃者が生成AIを悪用することで、「対処しなければならないインシデントの頻度・数量が増えたり、平均的な攻撃の技術水準が高まったりしている」* 点が特徴です。

ここで注目すべきポイントは、「AIそのものが危険」という話ではなく、AIが攻撃者側の生産性を上げ、攻撃の高速化・多様化がスキルのない攻撃者でも実現できるようになりつつある、という点です。例えば、言語・文体・業界および社内用語が最適化されたメール文面の作成や、攻撃後の内部展開に必要なコマンドや手順の生成が、生成AIの悪用により短時間で行えます。これにより、攻撃の頻度が上がるだけでなく、既存の検知やルールに引っ掛からない攻撃が増え、企業側の復旧難易度をさらに押し上げています。

*引用: 独立行政法人 情報処理推進機構 セキュリティセンター「情報セキュリティ10大脅威2026解説書(組織編)」, 2026, p17



※ 参考: IPA 独立行政法人 情報処理推進機構/情報セキュリティ10大脅威 2026



生成AIで「コマンドが都度変わる」マルウェアが検知回避を助長

警察庁の資料によると、既存の検知やルールに引っ掛からない攻撃に関して、海外で確認された事案として、政府職員を装った者が生成AIを利用し、マルウェアを添付したメールを政府機関宛てに配布する攻撃が報告されています。添付ファイルを開くことで端末が感染し、解析の結果、マルウェア本体には固定の攻撃命令が記録されておらず、生成AIによって不正なコマンドが生成されることが特徴とされています。このタイプの厄介さは、コマンドが生成されるたびに変化し得るため、特定のパターン検出に依存した対策を回避しやすい点にあります。

また、Google Threat Intelligence Groupにおいても、マルウェアが実行中にAI機能を利用し、その挙動を動的に変更するコード群が複数確認されたとの報告がなされています。これらのコード郡について、現時点では実運用ではなく開発またはテスト段階であると判断されており、被害者のネットワークやデバイスを侵害する能力はないとの見解が示されています。一方で、AIを活用した自己改変や検知回避といった手法そのものは今後の悪用が懸念されており、脅威の高度化・深刻化が進んでいることも事実です。


参考:警察庁/令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について


参考:Google Threat Intelligence Group/GTIG AI Threat Tracker:Advances in Threat Actor Usage of AI Tools



攻撃リスクは増え、「検知しているはず」だけでは復旧は難しくなる

AI時代の攻撃は、現行の検知ルールをすり抜ける可能性があり、侵害後の動きが速く、かつ痕跡が多様化しやすい傾向があります。すると、インシデントを検知~復旧までの間に、「どこまで影響が広がったのか分からず、停止範囲を決められない」ことや、「公表・顧客連絡・当局相談の判断が遅れ、二次被害や信用毀損が拡大する」おそれがあります。

そして何より重要なのは、復旧期間が長いほど被害額は増加するという現実です。復旧が遅れれば、損害賠償・利益損害・行政損害などが積み上がり、被害額はどんどんと膨らんでいきます。

※ 参考:警察庁/令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について


だからこそ、平時に整えるべきは「検知ツールの追加」だけではなく、有事において人が状況を正しく把握し、迅速に意思決定できる仕組み作りです。


被害を小さくする本質:有事の「意思決定にかかる時間」を短くする

都築電気では、インシデント対応で差がつくのは「技術力」だけではないと考えています。

【体制】

● 初動で誰が指揮を執るのか

● 社内外へいつ・何を・誰が発信するのか

【判断】

● どのシステムを止めるのか、止めないのか

● いつ復旧判断を出すのか

【実行力】

● 状況に応じて迷わず行動と判断ができるレベルに達しているか

● トレンドに沿ったインシデントへの対応を行える基盤が整っているか

これらの意思決定を即時に行える「組織力」が重要です。


これは、現場の努力だけでは埋まりません。有事の際、現場がいくら尽力しても、事前に判断基準や体制が準備されていなければ、迅速かつ適切な対応には限界があります。判断を下すチーム・迷いを減らすマニュアル・実際に動ける状態にする訓練が揃って初めて、意思決定の短縮が現実になります。



有効ソリューション:CSIRT構築、マニュアル作成、有事対応訓練

生成AI時代の脅威に対する事後対応として重要な観点は「対応できる組織能力の実装・強化」です。

具体的な有効ソリューションは以下のものが挙げられます。


1. 【体制の強化】 CSIRT構築支援:有事の指揮系統と役割を決定する

インシデント発生時に、技術・業務・経営の判断をつなぐ中核となるのがCSIRTです。

「誰が意思決定するのか」「誰が調査するのか」「誰が社内外の調整を担うのか」を明確にし、責任と権限、連携ルート、エスカレーション基準を整備することで、有事における迷いと遅延を構造的に低減します。

なお、社内でCSIRTの専任組織を立ち上げることが難しい場合は、CSIRTを新設せずとも運用できる形として、後述の有事対応マニュアルにより、インシデント発生時の役割分担と対応手順を明文化することを推奨します。


2. 【判断力の強化】 有事対応マニュアル作成:初動の手順書を設け、全社員に周知する

有事の際は時間との勝負です。マニュアルは読み物ではなく、誰が読んでも同一の判断を下せるフロー図およびチェックリストであるべきです。

初動対応、封じ込め、証拠保全、関係者連絡、復旧判断、再発防止までを、自社の体制・システム構成・意思決定プロセスに合わせて整備することが重要です。


3. 【実行力の強化】 有事対応訓練:動けるかを検証し、改善点を潰す

手順が整っていても、実際に動けなければ意味がありません。訓練を通じて、社内外の連携方法やマニュアルの使い方を実践的に確認でき、課題を洗い出して改善につなげられます。

訓練は、コストを抑えて簡易に実施したいのか、あるいは自社環境に即したシナリオで実施したいのかといった要望に応じて、適切な形式・範囲を選定することが重要です。


まとめ/ダウンロード案内(CTA)

生成AIの普及により、攻撃はさらに速く、巧妙に、そして多様になります。

このような背景から企業に求められることは、インシデント発生から復旧までのフローを設計し、意思決定を短くし、被害を最小化する準備です。


● CSIRTで指揮系統と役割を明確にする

● マニュアルで初動の迷いを減らす

● 訓練で「動ける状態」を確認し、改善点を潰す


都築電気は、これらを整備し、貴社の実態に合わせた「有事に強い組織」作りをご支援します。


最後に、本ブログで触れられなかった詳細情報ならびに都築電気の支援サービスにつきましては、以下のリンクより資料をダウンロードのうえご確認ください。